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私は某メーカーで、特に販売店販売による業務用コンピュータシステムのセールスをしています。販売店の商談支援がもっぱらですので、時には客先を直接訪問することもあります。
ちなみに、私は網膜色素変性症により、今から約6年ほど前に完全失明している33才の男性です。失明前は地方都市で営業マンをやっておりましたので、いまだにしつこくこの業界に居残っていたりします。
この商売でもっとも必要になるのは[情報]です。業界のトレンド、業界の置かれている環境、業務効率化のためのポイントなど、ありとあらゆる情報をタイムリーに提供してゆくことが求められます。
視覚障害者は一般に[情報弱者]と思われていますが、実際はそのようなことはありません。以下、私の仕事を通して、いかに情報にアクセスするかを紹介してゆきます。
まず、私の利用しているパソコン環境ですが、メインとなっているものはNECのPC9821LA10 とそれに接続されている音声合成装置、富士通製VSU101です。ただ、これではいくら本体がサブノートタイプといっても携帯性に欠けますので、外出用に日立マイコンシステムズの音声合成カードをPCMCIAカードスロットに差し込んであり、必要に応じてCONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATを差し替えて利用するようにしています。外出先で通信の必要があることを想定し、普段は内蔵 FAX モデムカードを、出先で回線確保ができない時のためにDOKOMO用携帯電話接続カードと携帯電話、というものも用意してあります。
オフィス内では、情報入手と情報交換のために、各種パソコン通信を活用しています。これによって、例えば
などを把握し、それを一旦パソコンに取り込んだ上でエディタなどで編集し、
をやっていきます。また、ユーザ・販売店からの問い合わせに対しても通信を活用することで
などの一連の作業をこなすことができています。
また、最近はWWW上で提供されている情報、ソフトウェアが多くなってきていますので、これらにも拙作[VOICE NET]というテキストブラウザでアクセスできるようにしています。
勿論、社内規定のフォーマットによる書類への記述、紙ベースで配布される社外秘情報へのアクセス、最近のディファクトスタンダードとなっている各種OAソフト(MS-WORD、MS-EXCEL、MS-Access、POWER POINTなどの利用については、まだ多くの課題が残っていますが、営業活動上でもっとも重要な情報入手、情報分析、情報発信のプロセスについてはほぼ単独で対応できますので今のところ致命的なハンディとはなっていません。まだ不十分ながらアメディア製のヨメールを利用することで、印刷文字ベースの資料ならばそこそこ読むことはできるようになっていますし、95 リーダーを利用することで、少なくとも MS-EXCEL のデータを lotus 形式に変換して従来の DOS 環境で利用することもできます。将来的には多くの課題がクリアされてゆくことでしょう。
外出先では、視覚障害によるハンディはさらに極小化されます。先に書いたようなモバイル環境を整備すれば商談においてこちらから話すべき内容については、すべてパソコンに保存されている内容を確認しながら話すことが可能となりますし、必要な情報はその場でメモをとって保存しておけます。手元のパソコンの情報だけで不足な時は、その場で各種DBにアクセスしたり、ゲートウェイで社内ネットワークにアクセスして必要情報を取り出してくることができます。図面をベースにした打ち合わせは辛いものがありますが・・・。(笑)
また、最近では、地元中堅どころの企業も社内ネットワーク化の検討が進んでいるため、今まで書いてきたようなことを実際に客先で実演して見せると、それがひとつの立派なプレゼンテーションになってしまう、ということも発見しました。つまり社内ネットワークを構築する時には、内部での情報蓄積も大切なテーマではあるけど、コスト、運用の問題などを考えると、外部情報リソースを活用した方が良い場合もあるし、そのためにはこうしたものを利用すると良いですよ、というサジェスチョンができてしまうのです。
電子化された情報、ネットワークの活用により、視覚障害者の最大の弱点であったはずの情報入手ハンディはこのようにほぼ解消されてしまいます。勿論私の場合は、たまたま勤務先が情報産業関係であったことから社内環境もかなり整備されていたのでこのようなことがスムーズに実現できた、という好運がありますが、こうした事例があるということは、これからこうした事例は次々と出てくる可能性があるということです。特にこれから社会に出てゆく若い学生さんたちに、こうした事例はぜひとも知っておいて欲しいと思います。
繰り返しになりますが、視覚障害者が情報弱者であるというのはもはや単なる固定概念にすぎません。情報はアクセス可能な形ですでに存在しています。これからはそれをいかに簡単に利用できるようになるかということこそが問われることになるでしょう。メーカー関係者の一人として、これは今後積極的にとりくんでゆきたいテーマのひとつとなっています。
NEC北海道支社