【必須機能】文字キーと同時打鍵することで、その文字キーに別な意味を与えるキー、例えば、SHIFT (シフト)キーやCTRL(コントロール)キーを単独で押した時は、次の打鍵を待って入力文字を確定する順次入力操作を可能にする。
【解説】標準キーボードでは、SHIFT キーやCTRLキー等を押しながら、他のキーを押すことにより、一つのキーにいくつかの意味を持たせ、事実上、キー数を増加させる方法が普通に用いられている。手や指等が不自由なため、こうした同時打鍵ができない人は、標準キーボードを使って入力することができない。
【コメント】同時打鍵と順次打鍵を別モードにする場合、必要に応じて現在のモードが視覚的か聴覚的に判別できるようにする。なお、この機能はソフトウェアで対応でき、いくつかの既存のソフトウェアがある。
【必須機能】反復入力機能の停止及び開始時間(t1)と繰り返しの間隔時間(t2)とを利用者が設定できるようにする。
【重要機能】反復入力機能の有効/無効をキーグループ毎に指定できるようにする。
【解説】標準キーボードでは、あるキーを一定時間以上押し続けると反復入力機能が働いて、同じ文字を連続打鍵した時と同様、連続入力ができるものが多い。この機能は、罫線や空白文字等を大量に入力したい時に便利だが、指の微妙なコントロールができない場合は、所要文字数に合わせた入力が難しい。多くの機種では、この機能は停止できるので、この機能のためにコンピュータが全く使えないわけではないが、手が不自由だからこそ反復入力機能を使いたいという事情もある。この機能は、反復入力を開始する時間(これを開始時間という)と、同じ文字を繰り返し発生する間隔(これを間隔時間という)との二つの時定数を設定しているので、この両者を利用者の事情に合わせて調節できるようにすればよい。また、ワープロソフトウェアを使っている時には、「あ」〜「ん」等の一般文字を反復する必要性は少ないし、変換キー等の機能キーの反復は誤動作を誘発するという問題すらある。従って、反復機能の有効/無効はキーリピートの使用頻度に応じたキーグループ毎に指定できればよい。
【コメント】例えば、t1は0.3秒〜5秒、t2は0.03秒〜0.5秒の範囲で調整できるようにする。キーリピートの使用頻度に応じていくつかのグループに分けてそのグループ毎に設定できればよい。キーボードBIOS等の基本ソフトウェア、又は、ファームウェアの変更で対応できる。なお、カーソル移動キーについても、長時間押し続けているとカーソル移動速度が変化する機種が多いが、これについても同様の配慮が必要である。打鍵に対する本体内の時間設定部分をユーザに開放するか、又は、変更用ツールを提供すること。キーグループとしては、使用頻度に応じて(1)カーソル移動・後退・削除・空白・改行キー等、(2)文字キー、(3)シフト・エスケープ・コントロール等の修飾キー、変換・無変換等制御キー、英字・カナ等のモード切替えキー、(4)上記の(1)(2)(3)を同時に一つのグループと見なす案が提案されている。
【重要機能】各キースイッチの状態は、打鍵直後確定するのではなく、一定時間(t3)保持して初めて有効となり、その後、一定時間(t4)経過するまで次の打鍵を無効とするモードを用意する。
【解説】 手が不自由な人のなかには、キーを押す動作が安定するまでに時間がかかり、本人が望んでいないにもかかわらず、2度、3度と打鍵してしまうことがある。これを防ぐため、キー入力が確定するまでの条件を、利用者の事情に合わせて設定できるようにする。
【コメント】例えば、t3やt4を 0秒〜 3秒の範囲で調節可能とする。通常は、どちらか一方を0.3秒にすることで対処できよう。この機能はソフトウェアで対応でき、いくつかの既存のソフトウェアがある。打鍵に関する本体側の時間設定の仕組みをユーザに開放するか、変更用ツールを提供する。
【必須機能】画面上での位置指定やドラッグ操作を標準キーボードのカーソル移動キー等でできるようにする。
【重要機能】ジョイスティック、タッチパッド(CRT画面に密着させたスクリーンパッドも含む)等の様々なポインティングデバイスから、位置情報が入力できるようにする。
【解説】手や目の不自由な人にとって、マウスの動きを正確にコントロールすることは至難の技である。しかし、マウスは多くのソフトウェアで標準的な入力装置であり、中にはそれでしか入力できないソフトウェアもある。そこで、標準キーボードのカーソル移動キー等を代わりに用いて、最低限、位置決め情報を入力できるようにする。この機能はソフトウェアで対応でき、いくつかの既存のソフトウェアがある。また、GUI環境下では、画像情報を扱う機会が増え、ドラッグ(drag)と呼ばれる画像の一部をある位置から別の位置まで引きずっていく操作も多用されるが、そうした操作に関しても、障害者の参加を妨げないような配慮が必要であろう。要するに、マウス以外の様々なポインティングデバイスから位置情報を入力できるようにすることが望ましい。
【必須機能】トグルキー(例えば、英文タイプライタの大文字ロックキー等のように、押すたびにコンピュータの内部状態が変化するような機能キー)を押すたびに、新しい状態を音声等で知らせるようにする。
【解説】機構的にロックするキーを使えば、外部から見たり、触ったりすることで現在の状態が分かるが、状態をCRT画面に表示するだけの方式では、目の不自由な人は分からない。そこで、こうした状態の変化を音声等でも知らせるようにする。
【コメント】この機能はソフトウェアで対応でき、いくつかの既存のソフトウェアがある。
【必須機能】標準キーボード又は代替入力装置の接続インタフェースを公開する。
【解説】標準キーボードを多少改造した程度では使えない人は、その人に適した代替入力装置を利用せざるを得ないが、この場合、標準キーボード又は代替入力装置を接続するためのインタフェース仕様が公開されていれば、代替入力装置の設定が楽になる。公開すべき情報には、単なる電気的仕様だけでなく、応用ソフトウェアの実行に必要な情報も含めるものとする。キーボード接続インタフェースがメーカや機種に関係なく統一されていれば、改造の手間は少なく再利用も容易である。
【コメント】この項目は、ハードウェアに関するものであるが、これに関連して、例えば、RS-232Cポートに接続したJIS又はシフトJISコードの文字列を送信する機器を、標準キーボードと同等にみなすインタフェースソフトウェアを用意すれば、様々な代替入力装置が接続できる可能性が開ける。なお、点字に慣れた人のための入力方法として、点字パターン入力を可能にするため、6から8個までのキーの同時打鍵が可能な(nキーロールオーバ機能)キーボードであることが望ましい。また、ノート型等の携帯用機器についてもキーボードが変更できることが望ましい。更に、他社製の代替入力装置を接続した際の責任分担と障害発生時の切りわけ方法についても、マニュアル中で触れることが望ましい。
【必須機能】キーガード(合成樹脂や金属の板にキーボードの各キーに対応する穴を開けたもの)を本体メーカが供給する。
【解説】これは、手の不自由な人が、自分の意志に反して不要なキーを押してしまうことを防ぐため、キーボードの上に被せる補助具である。自分が押したいキーに対応する穴から一本の指又は棒を入れてキーを押す。これを用いることで不要なキーに触れる心配がない。目的のキーを確実に押すためには、キーガードはキーから離れていては意味がないし、さりとて、接触していてもいけない。本体メーカは責任を持って適切なキーガードを供給するか、又は、発注可能な企業名を明記しなければならない。
【必須機能】主要キーの触覚識別手段を本体メーカが供給する。
【解説】目の不自由な人がキーボードを使う場合には、各キーを手探りで探すことになる。この時間を短縮し触覚で識別できるようにした取り替え用キートップや、キーに貼り付けるための粘着テープに点字等の記号を刻印したもの等を本体メーカの責任で供給するか、又は、発注可能な企業名を明記しておかなければならない。主要キーに関する定義はないが、例えば、標準的な英字キーボード(左上の文字配列が「QWERTY」の順になっているもの)において「AFJ;」という両手の人指し指と小指が受け持つホームポジションキーに触覚識別手段を貼付する方法もある。
【必須機能】ディスプレイ上の文字情報を拡大表示できるようにする。拡大する領域はカーソル移動キー、マウス等で指定するものとする。いろいろな視力の人に適合するよう数段階の拡大率を用意する。
【重要機能】グラフィックス画面の拡大ができるようにする。
【解説】 弱視あるいは視力の衰えた人のために画面内容を拡大表示できるようにする。
【コメント】 拡大率は視覚で2〜15倍の範囲とする。固定倍率であれば、ソフトウェアでも対応できるが、ズーミング機能やグラフィック画面の拡大機能については、応答速度等の面からハードウェアで対応する必要があるかもしれない。なお、この機能は2-5の表示色変更機能と組み合わせると有効な場合がある。
【必須機能】音声出力機構を有し、かつ、その音量が調節できること。かな漢字変換の際は、(1)打鍵した文字と(2)変換候補文字が音声で確認でき、かつ、(2)については、音声で同音異義語の区別ができること。変換確定文字の音声化もできる方がよい。
【必須機能】イヤホンジャックを装備する。
【必須機能】画面の任意の領域の文字読み上げができるようにする。
【必須機能】必要に応じて、音声のON/OFFができるようにする。
【重要機能】漢字の熟語を正しく読めるようにする。
【重要機能】漢字や熟語の音声辞書の変更を利用者ができるようにする。
【推奨機能】英単語も読めるようにする。
【解説】全盲あるいはそれに近い低視力の利用者には、画面に表示した文章を合成音声で朗読する音声化機能が有効である。この機能によって、目の不自由な人がコンピュータを自由に使えるようになる。多数の人が同時に、何台かの音声化機能付きコンピュータを利用する場合や、逆に大勢の人が一台のコンピュータを交互に利用する場合を想定すると、イヤホンジャックの装備も不可欠である。なお、画面内容朗読に要する時間は、それを黙読する時間より長いから、高速朗読機能も音声出力機構の要件である。また、この機能を耳の不自由な人が使うことを想定すると、明瞭な音を出せることが必要で、今後、補聴器と電磁的に結合できるような配慮も望まれる。
【コメント】高速朗読とは、普通の朗読速度(かな文字で5文字/秒程度)の2〜3倍とする。読み上げる領域の指定には、カーソル位置や絶対座標等を使用する。音声のON/OFFの条件として、打鍵待ちとか、特定文字の出現待ち等があると便利である。音声出力機構はハードウェアそのものであるが、第3項以下は、ソフトウェアで対応できる。全てのソフトウェアに対して音声出力を保障するには、OSレベルでの対応が必要で、OSメーカの協力が不可欠である。
【重要機能】ディスプレイに表示されている文字情報を外部出力できるようにする。
【推奨機能】ディスプレイに表示されている図形情報を外部出力できるようにする。
【解説】 ディスプレイに表示されている文字情報が外部に取り出せれば、外付きの音声合成 装置、点字プリンタ、点字ディスプレイ等の文字出力装置の利用が可能になる。また、図形情報は、触覚ディスプレイ等の触覚を用いる図形出力装置に利用できる。触覚ディスプレイが普及すれば、図形情報の外部出力機能も〔推奨機能〕を変更する必要が出てこよう。
【コメント】実現手段としては、ディスプレイ接続インタフェースの公開や、プリンタ接続ポートや通信ポートの利用が考えられる。メーカ間の互換性を保証するため、出力方法(ポートやデータ形式等)の規格化が望ましい。規格化されることにより、ソフトウェアで、容易に対応できるようになる。
【重要機能】ブザー等の聴覚を利用する警告情報を、画面等の点滅や振動素子等を用い、視覚や触覚を利用した別の手段で分かるようにする。また、ディスクドライブやCD-ROMドライブの使用状況が音や振動でも分かるようにする。
【解説】ハードの異常や入力の誤動作の警告を、ブザー等の音響信号だけで行い、他の出力手段が付随していなければ、耳の不自由な人はこれを把握することができない。また、現在、LED(発光ダイオード)等を用いているドライブのアクセス表示を振動や音等の非視覚手段でも分かるようにすべきである。つまり、あらゆる情報が、視覚・聴覚・触覚の二つ以上の方法を介して認識できるようにする。
【コメント】画面表示内容の音声化はソフトウェアで対応でき、いくつかの基礎のソフトウェアがある。LED の点灯状況の確認は携帯式の光センサー(光や音や振動に変える)が便利である。
【推奨機能】文字情報を含む出力情報は、文字コード、音声、画像(静止画、動画)の3種類の信号を並列で出力できるようにする。
【解説】これからのマルチメディアの時代では、コンピュータで文字、音声、画像を並列的に取り扱うことが可能となる。既に、文字(平がなや漢字かな混じり文)から点字や音声への自動変換ソフトウェアが開発され、点字プリンタや音声合成装置への出力が実現されている。また、文字から手話アニメーション(動画像)への変換も、人間が介在し、手話で表現する語順に単語列を作成し入力すれば、ソフトウェアで自動的にアニメーションへ変換できる。このように、メディアの並列表示により、障害者の理解促進が期待できる。例えば、文字よりも手話に慣れている耳の不自由な人は、出力の手話表現を見て理解すれば良いし、点字よりも音声に親しみ易い目の不自由な人は、出力の音声表現を利用すれば良い。特に、公共の場に置かれる機器の操作案内や市役所等の館内案内システムには、多様なユーザがいることに配慮して、文字で出力すると同時に、音声、手話、点字等のマルチメディアで並列的に出力することが望まれる。
最近では、コンピュータでビデオ信号を取り扱い、静止画のみならず、動画を表示できるようになってきた。コンピュータの画像に音声の説明が付いているときは、コンピュータを使用して字幕をつけられるようにすることが、耳の不自由な人のために望まれている。また、動画を目の不自由な人に説明するために、画像に音声データをつけられるようにすることが望まれる。
【重要機能】特定の色に重要な意味を持たせないようにするか、配色を変更できるようにする。
【解説】 例えば、重要な情報を赤色で示すといった約束で画面設計をすると、色の識別が困難な人は利用することができない。また、明るい地に暗い文字表示は、白内障の人に見づらいので、簡単な操作で反転(例えば、白地に黒文字を表示する代わりに、黒地に白文字で表示)できるようにする。
【コメント】 ソフトウェアで対応できるが、全ての応用ソフトウェアがこの点に留意する必要がある。
【推奨機能】操作対象となる対話部品がグラフィック情報として表現され、かつ空間的に配置されているGUIにおいて、これらの視覚情報や空間情報を音響情報、触覚情報に変換して出力する。
【解説】GUIでは、画面の情報を基本的にグラフィックとして取り扱うので、従来のテキスト読み上げ技術が利用できない。このため、目の不自由な人向けに新たなアプローチが必要である。具体的には、例えば、次のアプローチが考えられる。(1)晴眼者が利用しているのと同じ画面構成で、画面上に配置されているアイコン等の対話部品を探しながら操作、(2)GUIの画面構成の構造を提示し(ツリー構造で表現可能)、その構造の中を探索しながら操作、(3)操作意図を論理指示的に直接伝達(従来のコマンド方式に相当)。
【コメント】GUI対策は世界的な課題であり、わが国でも平成6年度から5年計画で国のプロジェクトとしての取り組みが始まった。
【推奨機能】音声音、合成音等の音声出力情報の話速(発話の速度)が利用者によって設定できるようにする。
【解説】耳が不自由な人にとっては、スピーカから出力される話速が速すぎて、聞き取りが困難な場合がある。このため、音声のピッチを低下させずに話速を変更し、ゆっくりした速度に設定できることが望まれる。反面、目が不自由な人の中には、合成音を高速で聞きたいというニーズがある。いずれにしても、話速を選択して設定できる機能は有効である。
【コメント】話速を遅くすると、映像等とのタイミングが合わなくなるので、長時間話速変換を行う場合は、元の話速の場合とは再生時間が異なるので、その時間差分の音声情報を蓄積しておく必要がある。用途に応じて、タイミングの補正方法や蓄積容量の適切な設定が望まれる。なお、話速設定機能は、聞き直す場合に便利である。
【必須機能】利用者用マニュアルの文章部分を電子的記録媒体(フロッピ-ディスク、光ディスク等)に入れて提供する。
【重要機能】利用者用マニュアルの図形部分も電子的記録媒体に入れて提供する。
【解説】 目の不自由な人は、墨字(活字、手書き文字)の文書を読むことに支障があり、殆ど全てのコンピュータマニュアルが墨字で提供されている現状では大いに問題である。しかし、最近、多くのマニュアルの文章はワープロで作成されており、手書き原稿の場合でも、印刷する前に、写植オペレータの手で打鍵され、電子的情報となる場合が多い。これに若干の手間をかければ、電子化マニュアルは作成可能であり、目の不自由な人は、これを音声や点字の形で、読むことができる。また、マニュアルの図形部分についても、文章による説明を付加することで上記表現方法が利用できる。
【コメント】墨字の文章は必ずしも聞いて分かりやすい文章とは限らないので、本来は最初から音声化・点字化することを想定した文章で電子化マニュアルを作成すべきである。視覚に頼らないことを前提とした説明文は、必然的に平易な文章となり、情報処理機器に接する機会の少なかった高齢者や障害者にとっても、好ましいものとなろう。著作権法第37条によれば点訳は無条件に許されているが、電子化文書に関する規定はないので、たとえ、目的が目の不自由な人のためであっても、無条件に許される訳ではない。電子化マニュアル作成にあたっては、原作者の 了解を事前に求める等、著作権法に抵触しないよう留意する必要がある。電子化文書の書式統一は、望ましい方向ではあるが、多くの問題を含んでいる。コンピュータの普及に伴い、事実上の規約ができつつあるようなので、それに任せたい。
【必須機能】情報処理機器間で文字情報が送受信できるようにする。
【解説】 従来の情報処理機器は単独で使用される場合が多かったが、最近は、ネットワークの一部として使用される機会が増えてきており、情報処理機器に送受信機能をモデム、ソフトウェア等により付加できる機能を持たせることは極めて重要である。パソコンやワープロを用いて、文字情報をリアルタイムに送受信すれば、音声による会話とほぼ同等の文字による会話が可能となるため、これまで電話が利用できなかった耳の不自由な人達の職域を広げることができ、また、文字情報を音声や点字に変換することで、耳の不自由な人と目の不自由な人との直接会話が可能となる。従来の音声だけ、あるいは、文字だけに頼る情報伝達方法では、全ての人に対応できないが、上記の電子的文字情報は極めて汎用性が高く、災害発生時等の非常時における情報提供においても有効であり、情報伝達系の不備による二次的被害を最小限に止めることにも役立つ。
【重要機能】情報処理機器とFAXとの間で文字・図形情報の送受信ができるようにする。
【解説】従来の情報処理機器は単独で使用される場合が多かったが、最近は、FAXと接続して使用される機会が増えてきており、情報処理機器にモデム、ソフトウェア等により、文字・図形情報の送受信機能を付加できる機能を持つことは極めて重要である。なお、本機能は、4-1で対応していれば特別に対応しなくても良い場合もある。
【推奨機能】情報処理機器からFAXへの送信時に、送信者の氏名や電話からのFAXへの切り替え依頼等の情報を音声で送信できるようにする。
【解説】我が国では、多くの耳の不自由な人達がFAXを保有しているため、FAXとの送受信機能は重要であるが、手動で電話と切り換えるタイプのFAXに情報を送信する場合には、口頭で、まず自分の名前を名乗った後、FAXへの切り換え依頼等を行う必要がある。しかし、受信者が受話器を取ったことを知らせるフック音が確認できない耳の不自由な人は、このタイミングが掴めない。また、うまく話せない人は、言葉で説明することができないため、いたずら電話と間違われて切られてしまうことがある。そこで、受信者が受話器を取ったタイミングを検知して発信者の氏名やFAXへの切り換え依頼等のメッセージを音声で送出する機能を、情報処理機器に持たせることが望まれる。
【推奨機能】標準キーボードやディスプレイに代わる代替入出力装置をオプション装置として、本体メーカが用意する。
【解説】標準入出力装置を多少改造した程度では使えない重度の障害を持つ利用者は、自分に合った代替入力装置を使わざるを得ないが、個別に特別注文すると非常に高価な製品となる。多少なりとも汎用性のある代替入出力装置、例えば、6点入力式キーボードやモールス符号入力式キーボード、光線入力式キーボード、視覚障害者用読書機、音声認識技術を利用した入力装置、点字プリンタ、ピンディスプレイ等の触覚ディスプレイや、これらの複合機器については、本体メーカが開発し、オプション装置として販売することが望ましい。自社生産しない場合でも最低限、市販の代替入出力装置の中の接続可能なものを紹介すべきである。
【コメント】入力インタフェースが公開されれば、多くの入力装置が接続可能となる。
【推奨機能】電源スイッチ、リセットスイッチ等について、使い易くすると同時に、誤動作が防げるような配慮が望ましい。
【解説】電源スイッチ、リセットスイッチ等は利用者が頻繁に操作するものであるから使い易くなければならないが、一方で、ちょっと触っただけで電源が切れてしまうようでは、目や手の不自由な人に不安感を与えるので、使い易さと誤動作防止への配慮とを両立させる必要がある。
【コメント】例えば,キーボードから「POFF」というコマンドを入力すると電源を切断するといったソフトウェアによる操作方法が一つの参考になる。ただし、この場合、万一の場合に備え、機械的動作による切断方法も残しておく必要があろう。
【推奨機能】外部記憶装置や入出力装置を容易に取り扱えるようにする。
【解説】目や手の不自由な人が使う場合を想定すると、キーボード操作だけでなく、フロッピーディスク等の取り外し可能な記憶媒体の交換や、印刷装置の用紙供給、リボン取替等の操作の頻度は極力少なくする必要がある。また、フロッピーディスクについては、誤って記録面に手を触れる危険性が最も少ない3.5インチサイズが望ましい。また、充分な容量のハードディスクがあれば、フロッピーディスクの使用頻度は下がるので、少なくとも、定例業務がフロッピーディスク無しで処理できる程度のハードディスクを装備すべきである。ただし、将来もフロッピーディスク操作が全く無くなるわけではないので、フロッピーディスク挿入排出自動化機構もあった方がよい。また、目や手の不自由な人のためにフロッピーディスク挿入口の位置は、本体の横よりも正面の方が望ましい。最近、ICカード、PCカード等の大容量LSIを内蔵したメモリカードの普及がめざましく、日常生活にも利用され始めているので、これらについても、障害があるが故に利用が妨げられることのないよう機器やシステム開発者の注意を喚起する必要がある。
【重要機能】音声合成装置等の周辺装置を付けた状態で携帯して利用できるようにする。
【解説】最近、ノート型等の携帯可能な小型パソコンやワープロの普及が目ざましい。こうした携帯型機器の恩恵を障害者等も受けるためには、音声合成装置等の周辺装置の小型化及び電池駆動化、あるいはPCカード化することが望まれる。また、ノート型のパソコンは、ディスプレイとキーボードの位置関係が固定されているため、ディスプレイが見にくい人もいるので、外付けキーボードが接続できるようにする。
【必須機能】本指針を採用する製造元各社は、自社製品に関する問い合わせ窓口を用意し説明書等に明記する。