こころWeb

1.学習における情報障害

情報障害者に対し適切な情報補償を行うには、大学内での各種の行動ごとに情報補償環境を計画することが重要である。学習に関する行動としては、一連の入室・準備・講義・実習・実験・片づけ・教室移動・自習等があり、それらの行動ごとに配慮が必要とされる。表1は筑波技術短期大学聴覚部・視覚部の学生を対象に「どのような点に困っているか」をヒアリング調査した結果11)である。これらの障害ごとにきめ細やかに情報補償をする必要がある。さらに、聴覚障害者と視覚障害者では学習行動での障害には相違はあるものの、両者に共通している点もある。障害者を含めたすべての人々に利用されうる情報環境を整備するというユニバーサルデザイン視点からすれば、両障害を一緒に比較検討し情報補償環境を総合的に検討することは有用であると思われる。

(困る× 困らない○)
学習行動 視覚障害学生 聴覚障害学生
入室 教室に入る ×初めは教室の場所が分かりにくい
授業の開始を知る ×授業開始チャイムが聞こえない
席を探す、着席する ×空席が分からない
準備 荷物を置く
筆記用具を机に並べる
パソコンを起動させる ×機種でキーやスイッチの配列が違うとき、操作や接続が困る ×起動音、警告音が聞こえなくて起動しない原因が分からない
講義 講義を聞く ×指示語が多いと分かりにくい ×話が聞こえない、手話、口が見えない

×読み取りが不十分で分からない

×資料やノートを見ていると話の内容を聞きのがすときがある
黒板の文字を見る ×板書と同時に声で読まないと文字が見にくいので内容が分からず遅れる ×文字が見にくい

×漢字の読み方を間違える
発言する ×発音が悪く話の内容が伝わらない
相談する ×手話や口が見えにくい

×複数でディスカッションしていると誰が発言しているのか分からなくなる
調べる ×辞書の文字が小さく見えない ×聴覚情報が入手しにくい
OHP 掲示装置等の映像を見る ×普通の映像は見えない、見にくい ×字幕がないので映像の内容が分からない
教科書・参考書を見る ×必要な内容を探すのに時間がかかる ×先生の説明を聞きのがす
×グラフの数値、図形や絵が分かりにくい
配布資料を見る ×普通の墨字では読めない ×先生の説明を聞きのがす
ノートをとる ×板書と同時に声で読まないと文字が見えない ×先生の説明を聞きのがす
実習・実験 説明を聞く ×指示語が多いと分かりにくい ×聞き間違い・聞き取りが不十分
道具・機器を扱う ×外形が同じで中身や種類が識別できない ×音による調節が難しい
×計量や目盛りが分からない
機械を操作する ×操作手順や操作ボタンが分からない ×作動しているのか分からない
パソコンを使う ×合成音声のスピードが遅い ×警告音が聞こえないので何故動かないかが分からない
×調節、取扱に不安がある
火 ガス その他危険物を扱う
×音による調節が難しい、つけ忘れする
洗う ×きちんと洗えたか心配
身体を動かす ×周囲の状況が分からない
移動する ×以前と物の位置が変わるとぶつかる
ものを運ぶ ×落とすと探しにくい ×落ちた音に気づかない
片付け 終了を知る ×終了チャイムが聞こえない
荷物を片づける ×置き忘れをする
教室移動 歩行する ×迷う、方向が分からなくなる ×後方から呼んでも聞こえない
×人や鉄柱、開放されたドアの角にぶつかる
×そばにいるのに友達とすれちがいになる
階段を使う ×階数が分からない
エレベーターに乗る ×一人の時、階数が分からず困る ○(但し故障時は外との電話連絡が出来ない)
トイレ ×男女の左右の位置が統一でなく困る
自習 本・資料を検索する ×人の助けが必要
必要な内容を検索する ×合成音声が遅く検索に時間がかかる
本・資料の内容を見る ×点字の資料が少ない
×代読の必要がある
必要なところを写す ×人の助けが必要

表1 学習行動における情報障害


前ページ 目次 次ページ

| こころWeb | こころリソースブック | 相談センター | こころWebからの提案 | アクセシビリティ指針 |
| 最新情報 | 初めにお読みください | ネットワーカー実例集 | 関連情報 | ご意見・ご感想 |


Last modified : 2002.11.25
(c)Copyright, e-AT協議会