人間は環境からの情報収集の90%以上を視覚に頼っていると言われる。視覚に障害を持つということはまさに情報障害問題に直面するということである。それゆえにこそ、情報障害が教育や就労の「障壁」とならないよう配慮されなければならない。本学視覚部では教育に関わる情報補償として、教材の電子ファイル化管理により、点訳(触覚化)の自動化や音声化やネットワーク利用を推し進めてきた。これは障害を持たない教官とのコミュニケーションや学外との情報交換にも利用されてきた。情報補償機器は図書館システムや情報処理施設だけでなく各教室にも展開されている。また、視覚障害の補償には点字ブロックをはじめとする歩行や空間構造の把握を助ける設備も重要である。学内での安全な移動を助ける音声ガイド付きエレベータや出入り口の自動ドア化も設置されている。

これらの条件に環境との調和の観点から「(6)デザイン性」を加えた6つの観点から、本学視覚障害関係学科の施設・設備を評価した。
A. 利用度
情報が必要なときに、その施設・設備がいつもそこにあり、日常的に使用することができる環境にあることが大切である。
<ガイドライン>
A-1 日常的に使用されていること
A-2 必要なときそれが利用できる環境にあること
A-3 利用する際に特別な準備や手続きが必要ないこと
B.利便性
その施設・設備を利用する際、専門的な知識や技術がなくとも利用の方法が分かり、複雑な操作や補助者を必要とせず、自立的に使用できる環境であることが大切である。
<ガイドライン>
B-1 特別なガイダンスを必要とせず利用方法が簡単で分かりやすいこと
B-2 受信者側の専門知識や技能を必要とせず使用ができること
B-3 受信者側が特別な装置等を準備しなくてもよいこと
B-4 補助具や補助者なしに自立的に利用できること
B-5 使用方法を間違わずに使用できること
B-6 疲れることなく使用できること
C.空間把握性
その施設・設備は環境中の気づきやすい場所に設置され、施設・設備を利用することによって、目的地への情報が取得できたり、現在位置が把握でき移動のための情報が得られること。
<ガイドライン>
C-1 現在位置の情報を提示すること
C-2 目的地への情報を提示すること
C-3 情報は迷わないように明瞭に提示すること
C-4 環境の全体的構造の情報を提示する
C-5 環境中の完全な場所、危険な場所を明確に指し示していること
C-6 人の動線およびその交錯に配慮した設置になっていること
D.情報摂取性
その施設・設備が提供している情報は視覚障害者に摂取しやすいかたちで提供されているか。準備された情報が原情報から視覚障害者に利用できる形態に変換されていることが必要である。
<ガイドライン>
D-1 視覚情報を聴覚情報に変換すること
D-2 視覚情報を触覚情報に変換すること
D-3 視覚情報は拡大表示などで提示すること
D-4 情報は理解しやすく、簡潔な形で表示すること
D-5 情報は気づきやすい位置・場所に提示すること
E.安全性
その施設・設備があることによって視覚障害者はもちろんすべての利用者の安全に寄与している。
<ガイドライン>
E-1 ひとの動線を交錯しないように導く
E-2 視覚以外の情報を付加して危険を知らせている
E-3 情報はいつでも提示されている
E-4 情報の意図が正しく伝わるよう配慮する
E-5 環境中の危険な場所を示す
F.デザイン性
情報補償のための種々の装置を付加することによって、使用する環境が煩雑になったり、日常性からかけ離れた特別な環境と感じさせたりすることがないようにデザインすることが大切である。
<ガイドライン>
F-1 デザインとしてみても美しいこと
F-2 配置が整っており仰々しくない
F-3 環境との調和がとれていること
F-4 特別なものと感じさせないデザインであること